Macaron Marriage
* * * *
翔がいつやってきてもいいようにと、家に帰った萌音は早めに食事を済ませて風呂に入ると、念入りに身支度を整えていく。
誰かのためにこんなに時間をとるなんて初めて。そ、そうよ……初めてなんだから……訳がわからなくてかなりドキドキする。
時計を確認すると九時を少し過ぎた頃だった。彼の到着はきっと早くても十時半くらいじゃないかと想像しながら、ベッドに倒れ込んだ。
萌音はベッドのサイドテーブルの引き出しを確認のために開けると、思わず顔を真っ赤にする。ネットで調べた"初めての日の準備"。最後の一行に書かれていたアレを緊張しながら薬局で購入してから、そっとここにしまったのだ。
こういうのって、女性が準備してもいいものかしら……。翔さん、引いたりしないかな……。でも翔さんが持っていたら必要ないし……ちょっと待って。持っていたらそれもおかしくない? いつでも準備万端ってこと⁈
頭の中でぐるぐると考え過ぎてドツボにハマりそうになった時だった。スマホに翔からの着信が入り、萌音の緊張がピークに達する。
「も、もしもし!」
『あっ、萌音? 実はちょっと早く着いちゃって、今家の前にいるんだ』
「も、もうですか⁈」
『あはは! じゃあ今日は帰った方がいい?』
「そ、それもダメ!」
『嘘だよ。帰る気なんてないから』
萌音は窓辺に寄ると、塀に腰掛ける翔を見つける。慌てて窓を開けると、冷たい夜風が部屋の中へと吹き込んでくる。
「今ドアを開けるから待っててね!」
窓を閉めてから小走りで一階まで降りる。急いで玄関ドアを開けると、そこにはスーツ姿の翔が立っていた。
「寒いから早く中に入って……」
外の寒さに比べて翔が薄着なのが気になり、萌音は彼の手を引いて部屋に入れる。しかしその瞬間に彼の腕に抱きしめられ、体に冷気を感じて身震いした。
「いやぁ、思ったよりも寒かった。コートを元基に預けちゃったんだよね」
「もう、翔さんは塀じゃなくて門から入るようにしてください。そうすればすぐに気付けるし……」
「でも俺が塀から現れた方が萌音は嬉しいんじゃない?」
「それは……でも安全の方が大事でしょ?」
「まぁね。以後気をつけます」
萌音が翔の手を引いて二階への階段を昇ろうとしたが、突然顎を引き寄せられキスをされる。そのまま壁に体を押し付けられ、熱いキスに身を任せていく。
唇が離れる頃には、萌音の心も体も熱に溶けてしまいそうだった。
「うん、とりあえず少しだけ満足。離れていた分、まだまだ足りないけどね」
彼の愛情が私をこんなにも満たしてくれる。だからこそ私も同じように返したい。
「翔さん、おかえりなさい……」
「うん、ただいま」
そしてようやく萌音の部屋へと歩き始めた。
翔がいつやってきてもいいようにと、家に帰った萌音は早めに食事を済ませて風呂に入ると、念入りに身支度を整えていく。
誰かのためにこんなに時間をとるなんて初めて。そ、そうよ……初めてなんだから……訳がわからなくてかなりドキドキする。
時計を確認すると九時を少し過ぎた頃だった。彼の到着はきっと早くても十時半くらいじゃないかと想像しながら、ベッドに倒れ込んだ。
萌音はベッドのサイドテーブルの引き出しを確認のために開けると、思わず顔を真っ赤にする。ネットで調べた"初めての日の準備"。最後の一行に書かれていたアレを緊張しながら薬局で購入してから、そっとここにしまったのだ。
こういうのって、女性が準備してもいいものかしら……。翔さん、引いたりしないかな……。でも翔さんが持っていたら必要ないし……ちょっと待って。持っていたらそれもおかしくない? いつでも準備万端ってこと⁈
頭の中でぐるぐると考え過ぎてドツボにハマりそうになった時だった。スマホに翔からの着信が入り、萌音の緊張がピークに達する。
「も、もしもし!」
『あっ、萌音? 実はちょっと早く着いちゃって、今家の前にいるんだ』
「も、もうですか⁈」
『あはは! じゃあ今日は帰った方がいい?』
「そ、それもダメ!」
『嘘だよ。帰る気なんてないから』
萌音は窓辺に寄ると、塀に腰掛ける翔を見つける。慌てて窓を開けると、冷たい夜風が部屋の中へと吹き込んでくる。
「今ドアを開けるから待っててね!」
窓を閉めてから小走りで一階まで降りる。急いで玄関ドアを開けると、そこにはスーツ姿の翔が立っていた。
「寒いから早く中に入って……」
外の寒さに比べて翔が薄着なのが気になり、萌音は彼の手を引いて部屋に入れる。しかしその瞬間に彼の腕に抱きしめられ、体に冷気を感じて身震いした。
「いやぁ、思ったよりも寒かった。コートを元基に預けちゃったんだよね」
「もう、翔さんは塀じゃなくて門から入るようにしてください。そうすればすぐに気付けるし……」
「でも俺が塀から現れた方が萌音は嬉しいんじゃない?」
「それは……でも安全の方が大事でしょ?」
「まぁね。以後気をつけます」
萌音が翔の手を引いて二階への階段を昇ろうとしたが、突然顎を引き寄せられキスをされる。そのまま壁に体を押し付けられ、熱いキスに身を任せていく。
唇が離れる頃には、萌音の心も体も熱に溶けてしまいそうだった。
「うん、とりあえず少しだけ満足。離れていた分、まだまだ足りないけどね」
彼の愛情が私をこんなにも満たしてくれる。だからこそ私も同じように返したい。
「翔さん、おかえりなさい……」
「うん、ただいま」
そしてようやく萌音の部屋へと歩き始めた。