嫌われ夫は諦めない
「旦那、こっちはこれでいいっすか?」
「あぁ。頼んだぞ」
「へい!」
昨日よりも更に大勢の男を引き連れてきたリディオは、外壁の修復に手を付け始めた。さらに伸び放題だった庭木を刈り込み、屋敷を取り囲む壁の修復も始める。かなり大がかりな機械も運び入れ、男たちの中からリーダーを選ぶと彼が指示を出すようにした。
リディオは彼らを監督するように立ち、時折見回って指示を出している。力仕事が必要となれば率先して参加して一緒に汗を流す。その姿は男たちの尊敬を集めた。
「旦那、旦那が新しい領主様になるんですか?」
「まぁ、それはおいおいな。俺は単なる入り婿だから種馬だよ、種馬」
「ひゃー! シャスナ様はお転婆で有名だから、乗りこなすのも大変っすね。その頬を見ればわかるっすよ」
「あー、まぁな。おい、それより手が遊んでいるぞ、夕刻まであと少しだから頑張れよ」
「へいっ!」
リディオの手配で屋敷がみるみる綺麗になっていく。明日は中を掃除する人も呼ぼうと言っていたから、侯爵邸が再び美しさを取り戻すのかもしれない。
リディオによって与えられる変化は、屋敷に留まらない。シャスナのこころもまた、大きく変化しようとしていた。