嫌われ夫は諦めない
翌朝、夜着を着てねているシャスナのもとに執事が駆けつけて来た。
「シャスナ様、シャスナ様!」
「う、うん……、あ、じい。ごめんなさい、ちょっとウトウトしちゃった」
シャスナが目を開けると、執事が封筒を差し出した。
「リディオ様が、こちらをシャスナ様にお渡しするようにと言われ、先ほど屋敷を出ていかれました」
「え? リディオが出て行ったの?」
「はい、身のまわりのものを持つと、馬で駆けていかれました」
「そう、そうなの」
がっくりと肩を落としている執事を見ると、どうやらリディオは王都に帰ったのだろう。来るべき時が来たのだ。いつまでも醒めない夢の中にいることはできない。シャスナは受け取った手紙の中身を見ると、そこには十日後に帰る、とだけ書かれている。
「じい、彼は王都に帰ったから、また静かになるわね」
「シャスナ様、よろしいのですか?」
「よろしいのですかって、他に何もできないじゃない。馬で駆けて行ったのなら、誰も追いつけないわ。それに、王都は遠いし……」
「そうですね、余計なことを申しました」