嫌われ夫は諦めない
「おーい、シャスナ! 人を連れて来たぞ!」
玄関でリディオの大声が響き渡る。何事かと思ったシャスナは、前掛けもそのままにエントランスに行くと、なんと十人ほどの男を引き連れたリディオがいた。
「なっ、この人達はどうしたの?」
「あぁ、馬小屋の掃除と草取りと、あとは壁の補修だったか? 補修は大工じゃねぇと無理っぽいから、今日は手配できなかったが近いうちに何とかする」
「何とかって、そんな人を雇う余裕なんて……」
「あぁ? とりあえずは俺が払うから任せとけ」
「えええぇぇ……」
リディオは外回りからだな、と言って街から来た人たちに仕事を割り振った。指示を与える姿はさすがに騎士らしく、堂々としている。人々は「へい」と威勢よく返事をすると、それぞれの仕事に取り掛かり始めた。
「ちょっと、どうなってるの?」
驚くシャスナを横目に、リディオも一緒になって馬小屋の掃除をしている。せめて飲み物だけでも用意しなくてはと、シャスナは慌てて台所に戻っていった。