片恋慕夫婦〜お見合い婚でも愛してくれますか?〜
◇
その後も食事を楽しみながら、両親たちのペースで会話が進み、あっという間にすべてのコース料理が終わってしまった。
会話の最中、何度か伊織さんと目が合っていたけれど、直接的な会話をすることはほとんどなく、彼がどういった人なのかも分からず仕舞いだ。
お見合いって、こんな感じでいいのかしら……? それとも私に興味がないだけ?
頭を悩ませていると、黙り込んでいた彼がおもむろに口を開いた。
「……あの、この後緋真さんと二人でお話がしたいのですが」
「えっ」
突然の発言に、一瞬沈黙が訪れる。
しかしすぐに両親たちの笑い声で、和んだ空気が戻ってきた。
「いやぁ悪いね、今日は二人のための会なのに私たちばかり喋って。食事も終わりだから二人で出てきたらどうかな」
「そうよ。ここは庭園も綺麗だから、ね?」
お見合いに来た以上、話さないわけにはいかないだろう。
それでも、目の前の彼と二人きりになるのは妙に緊張してしまい、食後のコーヒーを啜るようにゆっくりと飲み干した。
◇
レストランを出てすぐのエレベーターでロビーの階まで降りると、案内板に沿ってホテル内の庭園に出た。
池のそばの整備された小道を、道順に沿って歩いていく。周りを見渡せば、秋に色めく木々と澄み渡る空のコントラストが清々しい。
そして半歩先には、私に歩幅を合わせる形で伊織さんが歩いており、その横顔を見つめた。
歩く姿まで品があって……絵に描いたように、美しい人。
食事中こそ大した会話はできなかったが、両親と会話する彼の喋り方や、食事の際の所作、私が発言をしている時に向けられる真っ直ぐな瞳――すべてが洗練されていて、目が離せなかった。
その後も食事を楽しみながら、両親たちのペースで会話が進み、あっという間にすべてのコース料理が終わってしまった。
会話の最中、何度か伊織さんと目が合っていたけれど、直接的な会話をすることはほとんどなく、彼がどういった人なのかも分からず仕舞いだ。
お見合いって、こんな感じでいいのかしら……? それとも私に興味がないだけ?
頭を悩ませていると、黙り込んでいた彼がおもむろに口を開いた。
「……あの、この後緋真さんと二人でお話がしたいのですが」
「えっ」
突然の発言に、一瞬沈黙が訪れる。
しかしすぐに両親たちの笑い声で、和んだ空気が戻ってきた。
「いやぁ悪いね、今日は二人のための会なのに私たちばかり喋って。食事も終わりだから二人で出てきたらどうかな」
「そうよ。ここは庭園も綺麗だから、ね?」
お見合いに来た以上、話さないわけにはいかないだろう。
それでも、目の前の彼と二人きりになるのは妙に緊張してしまい、食後のコーヒーを啜るようにゆっくりと飲み干した。
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レストランを出てすぐのエレベーターでロビーの階まで降りると、案内板に沿ってホテル内の庭園に出た。
池のそばの整備された小道を、道順に沿って歩いていく。周りを見渡せば、秋に色めく木々と澄み渡る空のコントラストが清々しい。
そして半歩先には、私に歩幅を合わせる形で伊織さんが歩いており、その横顔を見つめた。
歩く姿まで品があって……絵に描いたように、美しい人。
食事中こそ大した会話はできなかったが、両親と会話する彼の喋り方や、食事の際の所作、私が発言をしている時に向けられる真っ直ぐな瞳――すべてが洗練されていて、目が離せなかった。