片恋慕夫婦〜お見合い婚でも愛してくれますか?〜
緋真の両親はとても辛かっただろうが、職業上の立場からなのか、子供のせいだとわかっているからなのか、俺の両親を決して責めることはしなかった。
今考えれば、治療費だって相当な額を払っていた。それでも、お金を払えば済む話でも、謝って済む話でもなかった。だから俺にできることは、“責任をとる”ことだと思ったのだ。
「……あの」
重々しい空気の中、勇気を出して謝罪以外の言葉を切り出す。
その場にいる大人たちの視線を集めたあとで、その場で深く頭を下げた。
「おれが責任をとります」
「え……?」
「おれがすごい医者になって、絶対に火傷の痕を治します。それでも治らなかったら……緋真ちゃんと結婚させてください」
七歳にして、一世一代の覚悟を決めた。もう、それしかないと思ったのだ。
俺は本気だったのだ。それなのに――
返ってきた言葉はこらえきれないといった笑い声で、一気にその場が和んでしまった。
「伊織くん、顔上げて」
緋真の父の、優しい声色につられて顔を上げる。するとやはり緋真の両親は穏やかな笑みを浮かべていて、どうして笑われているのか理解ができなかった。
「ありがとう。緋真のためにそこまで言ってくれて。でも、責任をとるなんて言わなくていい」
「そんな……おれ、本気で……」
「わかってるよ。正直緋真のことはすごく残念だけど、伊織くんだけが悪いわけじゃない。だからそこまで負い目に感じる必要はないよ」
緋真の両親も、心苦しい気持ちでいっぱいだったはずだ。最愛の娘が、ひどい傷を負ってしまったのだから。
しかしながら今回の事故は、リスク管理がまだできない子供が招いたもの。二人が会場から抜け出したことに気が付けなかった自分たちにも否があるのだと、わかりやすくかみ砕きながら説明してくれた。
今考えれば、治療費だって相当な額を払っていた。それでも、お金を払えば済む話でも、謝って済む話でもなかった。だから俺にできることは、“責任をとる”ことだと思ったのだ。
「……あの」
重々しい空気の中、勇気を出して謝罪以外の言葉を切り出す。
その場にいる大人たちの視線を集めたあとで、その場で深く頭を下げた。
「おれが責任をとります」
「え……?」
「おれがすごい医者になって、絶対に火傷の痕を治します。それでも治らなかったら……緋真ちゃんと結婚させてください」
七歳にして、一世一代の覚悟を決めた。もう、それしかないと思ったのだ。
俺は本気だったのだ。それなのに――
返ってきた言葉はこらえきれないといった笑い声で、一気にその場が和んでしまった。
「伊織くん、顔上げて」
緋真の父の、優しい声色につられて顔を上げる。するとやはり緋真の両親は穏やかな笑みを浮かべていて、どうして笑われているのか理解ができなかった。
「ありがとう。緋真のためにそこまで言ってくれて。でも、責任をとるなんて言わなくていい」
「そんな……おれ、本気で……」
「わかってるよ。正直緋真のことはすごく残念だけど、伊織くんだけが悪いわけじゃない。だからそこまで負い目に感じる必要はないよ」
緋真の両親も、心苦しい気持ちでいっぱいだったはずだ。最愛の娘が、ひどい傷を負ってしまったのだから。
しかしながら今回の事故は、リスク管理がまだできない子供が招いたもの。二人が会場から抜け出したことに気が付けなかった自分たちにも否があるのだと、わかりやすくかみ砕きながら説明してくれた。