片恋慕夫婦〜お見合い婚でも愛してくれますか?〜
それにきっと緋真が真実を知ったら、この結婚に負い目を感じてしまうはず。それだけは避けたかった。
確かに最初は責任感からだった。七歳で医師を志し、熱傷を治療する診療科について調べ始めた。
そして緋真の治療を担当した医師――当時現役で形成外科医として勤めていた白鷹院長の存在を知ったのだ。
自分は緋真の無事を祈ることしかできない無力な子供だった俺には、治療の現場に居合わせたわけでもないのに、白鷹院長は緋真を救ったヒーローだと思っていたのだろう。
調べていくうちに、東梨医科大学病院が形成外科に強いことを知り、研究環境も整っているとなれば迷うことはなかった。
結局、途中でどんなに勉強しても凄腕の医師になったとしても、治せない瘢痕があることを知ったのだが。
それでも決して諦めなかった。たとえ緋真自身を救えなくとも、彼女のようにハンデを負う人を減らしたい――その一心で医師になったのだ。
もし緋真がいなかったら、俺は今頃どうしてたのだろうか。
両親が決めたレールの上を、のらりくらりと歩いていたかもしれない。その人生もアリではあるのだが、何かを目標に真剣に努力をしたことは、自分の人生の中でも宝物のような時間だった。
もちろん原動力となったのは緋真の存在で。もし彼女が三十まで誰とも結婚をしていなかったら、父親に頼んで見合いをしようと心に決めていたのだ。帰国のタイミングもあり、一年早まったけれど。
ちなみに緋真の両親は驚き戸惑っていたようだが、責任感からだけではないと真剣な気持ちを伝えて縁談を受け入れてもらった。
それで……直接会ったらまさか一目惚れするなんてな。
確かに最初は責任感からだった。七歳で医師を志し、熱傷を治療する診療科について調べ始めた。
そして緋真の治療を担当した医師――当時現役で形成外科医として勤めていた白鷹院長の存在を知ったのだ。
自分は緋真の無事を祈ることしかできない無力な子供だった俺には、治療の現場に居合わせたわけでもないのに、白鷹院長は緋真を救ったヒーローだと思っていたのだろう。
調べていくうちに、東梨医科大学病院が形成外科に強いことを知り、研究環境も整っているとなれば迷うことはなかった。
結局、途中でどんなに勉強しても凄腕の医師になったとしても、治せない瘢痕があることを知ったのだが。
それでも決して諦めなかった。たとえ緋真自身を救えなくとも、彼女のようにハンデを負う人を減らしたい――その一心で医師になったのだ。
もし緋真がいなかったら、俺は今頃どうしてたのだろうか。
両親が決めたレールの上を、のらりくらりと歩いていたかもしれない。その人生もアリではあるのだが、何かを目標に真剣に努力をしたことは、自分の人生の中でも宝物のような時間だった。
もちろん原動力となったのは緋真の存在で。もし彼女が三十まで誰とも結婚をしていなかったら、父親に頼んで見合いをしようと心に決めていたのだ。帰国のタイミングもあり、一年早まったけれど。
ちなみに緋真の両親は驚き戸惑っていたようだが、責任感からだけではないと真剣な気持ちを伝えて縁談を受け入れてもらった。
それで……直接会ったらまさか一目惚れするなんてな。