冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
誰もが口を塞ぐ中、アンドレアがミリアの顔をぺろりと舐めていた。

「――人の妻なのに、神獣に舐めさせているとか妬けるだろう」

いきなり頬を舐められた彼女は、真っ赤になった。

(なぜに!?)

意味が分からない。急に彼が妻扱いしているのも意味不明だし、そもそも嫉妬とはいったいなんだ。

「獣に舐めさせるのなら、その前に俺にさせろ」

「な、なんですかその言い分っ」

「妥当なはずだろう。君の夫は、俺であるはずだ」

「だからっ、それが意味分からないんですってば!」

思わず姫のふりも頭から吹き飛んで抵抗した。けれどミリアの抵抗なんてもろともせず、アンドレアは顔を舐めてくる。

係の者たちも、口を手で塞ぎどきどきがピークで見守っていた。

神獣たちはブラッシングしないと分かったのか、種族が違うのに子供同士気が合ったみたいに走り回る。

「で、殿下――あっ」

耳の近くを舐められたミリアは、震えた吐息が口からもてしまった。

自分の声じゃないみたいに聞こえて、恥じらいに頬を染めた。

胸がどきどきして痛い。こんなの知らない。とにかく赤くなった顔を見られたくなくて目をそらしたら、アンドレアが止まった。

だが、顎を支えている手の親指が、ふと彼女の唇を撫でた。

「……殿下?」

上目遣いに見たら、その指が不意に唇を割って押し進んだ。

「んんっ?」

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