冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「カイ、しばらくここで待機していろ」

そんな指示が聞こえた次の瞬間、ミリアはアンドレアに抱き上げられて驚いた。

「あ、あの、下ろしてくださいっ」

「ここで降ろしたら、理性が持つか分からない」

どういう意味だろう。

そうミリアが疑問に思っている間にも、係の者たちがさっと開いた道をアンドレアは進んでいった。



誰かに横抱きにされて運ばれるのも慣れなかった。

下ろして欲しいのだけれど、歩いていると不安定に揺れるので、ミリアはアンドレアの首に腕を回してしがみついていた。

連れて行かれたのは、聖獣の子供たちがいた小庭の向こうだった。

そこは明るい緑の芝生が広がっていて、日除けに置かれた一本の木があった。その下でアンドレアはようやくミリアを下ろした。座らせ、自身も隣に腰を下ろす。

「そう構えるな。話しがしたいだけだ」

「だ、だからって、わざわざ移動することはないですのに」

ミリアは姫らしい座り姿を意識し、ドレスのスカートを彼から離すように自分の方へと引き寄せた。

「歩いたら落ち着いたからもう大丈夫だ……そうしないと、少しまずかった」

彼が顔を横に向け、少し赤くなった目元を袖でこすった。

(……もしかして、恥ずかしがってる?)

その原因を考えてすぐ、不自然な間までできた先程の親指の一件が頭に浮かんだ。

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