冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「え? ああ、たしかにそうですね」

大急ぎで思い返しながら頷く。

「そうか、やはりな」

アンドレアが口元を少し緩めて、木から落ちて笑っていたのを見たんだと話した。その表情は、懐かしく思い返すみたいに穏やかだ。

(――あ、これはまずい)

それを聞いて、ミリアはようやく全部思い出した。

馬車に乗り込む前にコンスタンシアの帽子が飛んでしまい、影武者モードで待機していたミリアが木から取り返してあげたのだ。

(ま、まさか、それで姫様のことが好きになったとかっ?)

カイ達にヅラをやめさせたり、お詫びの品を持って離宮を訪れたりと、変だとは思っていたのだ。

昔、来訪して挨拶をした際に気になった。

そして、二度目に見掛けて好きだと思った。あのあと彼は、わさわざお礼の品を持ってミリアたちの国を訪れている。

(だから殿下は、姫様となら王命の強制結婚もいいかと思った……?)

それはまずい。

大変よくない方の可能性にいきついてしまった。

(つまり姫様が気になっていた殿下に、惚れさせるというトドメを差したのは――帰りに影武者になっていた私の行動!)

帽子など捨ておきなさい、と従者は言っていた。

それを無視して木に登ったのはミリアだ。誰も見ていないだろうから、と。

(うわーっ、ばっちり見られてた! それも第二王子にっ!)

最悪だ。ミリアは今すぐ天に向かって懺悔したくなった。
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