冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました

あの時、軽率な行動を取らなければ、コンスタンシアが彼の気になる女性にならなくて済んだのに。

(ど、どうしよう……私のせいで姫様は木登りする姫ということになってるし……!)

そこもミリアにとって大問題だった。

目まぐるしく考えていたミリアは、表情の変化をじっと見ていたアンドレアに気付いてハッと気を引き締めた。

化粧で化けているだけなので、あまり近い距離にいるとバレるかもしれない。何せ、彼は姫様が気になっていたのだ。

本物の姫は、もっと美人だし身長もある。

ミリアはアンドレアからそれとなく距離を取った。だが離れ出してすぐに彼が制止する。

「どうして離れる?」

「うっ。い、いえ、その、礼節を守った距離感かと」

苦しい言い訳だった。

彼女がそう思っていると、やはり彼が眉を寄せる。

「夫婦だろう」

そう言われて、ミリアは一層笑顔が引きつりそうになった。

(これは……確実に結婚を続けると考えているのではないだろうか!?)

彼から投げられた言葉へ、どう答えれば正解なのか分からない。そうですねと相槌を打ったら、離縁して出国という任務から遠ざかってしまう気がする。

かといって、ここで『離婚するつもりなのによしてください』などと笑い飛ばすと、ミリアが大好きなコンスタンシアの評判が彼の中で余計に悪化する。

(ど、どうしよう!?)

< 121 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop