冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
笑顔で固まっていると、アンドレアが返事を催促せずこう言った。

「運動するのが好きなのか?」

「えっ? と、その……」

話を変えてくれたのは助かるが、返答に窮した。

コンスタンシアは木登りをしない。

だが、ミリアが彼女の影武者なのは秘密だ。彼には木登りを見られているので、肯定しないと怪しまれる。

「そう、ですね、えと……動くのは好きです」

答えながらミリアは、姫様ごめんなさい!と心の中で盛大に謝った。

(――ハッ、待って)

その時、悩みに悩みすぎた彼女にある閃きが起こった。

(殿下は挨拶をした姫様に憧れを抱いてたんだよね?)

それが第一印象だった。とすると木に登ったのかと確認したのは、ちょっと信じられない思いがあったからではないだろうか?

女子が木に登るなんて幻滅する、とはミリアも自国の護衛騎士や事務官たちに言われた。

(だとすると、姫っぽくなければ殿下も幻滅して結婚を白紙に持っていけるかも!)

彼のコンスタンシアへの誤解をとくのは無理だ。

ならばいっそれを利用して、ミリアは離縁という任務を成功させるために行動する。彼を幻滅させる作戦を決行すべく立ち上がった。

「私は走るのも得意ですし、木登りだってとっても好きですの!」

胸に手をあて、自信満々に言い切った。

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