冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
けれど見つめてくるアンドレアの顔は、冗談を言っているように思えなかった。ミリアが映る彼の赤い瞳は熱を帯びている。

(……え、え? なんか、恋した乙女みたいな?)

気のせいでなければ、その表情はコンスタンシアを見つめていたアーサー王子と重なった。

そんな感想を抱いて混乱していると、彼が掴んでいた手首にキスをした。

「で、殿下――あっ」

びっくりした直後、彼が袖から覗く肌を手首へ向けて舌を滑らせてきた。身をよじっても、一層彼のほうへ身体を押し付けられるだけだ。

(こ、これってもしかして獣の習性だったりするの?)

突然のことで戸惑った。続けて舐められてしまって慌てるが、アンドレアはミリアの腰を拘束し、掴んだ腕を舐めては吸った。

「殿下っ、な、何をしてるんですかっ」

「アンドレア、と」

名前を呼べと言っているのか。

そんなことできない、ミリアはただの侍女だ。そう思っていると手首を引っ張られて、肩口に顔を埋められた。

「ひゃ……っ」

首筋に吸い付かれて、ぞくぞくっと背筋が甘く震えた。

「は、話をしたいだけと言っていたのにっ」

「事情が変わった。――俺は、君がとても欲しい」

「えっ? あっ」

深くかき抱かれて背がそった。アンドレアが唇と舌を使って、ミリアの首筋から鎖骨まで愛撫していく。

(まさか、発情を?)

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