冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「分かっていないようなので伝える。俺の相手は、君だ」

「え……?」

くったりして力が入らないミリアを支えたまま、彼が髪の横にまた花を添えた。その手はいたわるように優しかった。

「決めた。俺のつがいは君だ。触れるのは引き続き今少し待つ。――だが、いずれ君の全てをもらい夫婦になるのを忘れるな」

花を付けてくれた彼が、強い眼差しで射抜いてきた。

それはあまりにも真剣で、熱くて、ミリアは人違いなんですという言葉が強張った喉に引っかかって出てこなかった。

彼は送ろうと言い、とんでもない温もりを残してくれた手で彼女を抱き上げた。



◇◇◇



ミリアをカイたちのもとに帰したのち、アンドレアがすぐ向かったのはジェフリルド国王のところだった。

「おや、決めたのかね」

「悔しいですが、案を飲みます」

王の間に来るなり、休憩をもらっていた父が愉快そうな顔で人払いをして早速聞いた。アンドレアがそう答えれば、満足そうに頷く。

「ふふ、良かったよ。それなら早速動き出そうか? それまで、我々でうまく時間稼ぎをしようじゃないか」

父の後始末に加担すると思うと、うんざりする。

それは、ちょうど居合わせていた兄のエミリオも同じのようだ。彼の笑顔に小さく怒りマークが見える――気がする。

たまたまここにいたことも嫌に思っていそうだ。

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