冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
王宮の前広場には、思っていたような人の集まりはなかった。

たまたま居合わせた、といった様子の貴族たちと城の警備の姿があるばかりだ。

(まぁ、挙式なしの結婚だもんねぇ)

荘厳な城へは、すごいという感想は浮かんだ。けれどかえって緊張が増しただけで、見る余裕はすぐになくなる。

異国の騎士たちに囲まれて、たくさんの視線を感じる中を少し俯き加減に進む。

「可哀想にな……半年で強制帰還させられるだろうに……」

「アンドレア殿下は、来てさえもいないと言うぞ」

ひそひそと囁かれる言葉が耳に入る。

姫がショックを受けたらどうする、という注意の声も聞こえたが、ミリアは「おおっ」と肩が少し軽くなった。

(これは、ちょっと安心してもいいのかもしれないっ)

実は約十年前、第二王子はコンスタンシアと会っていた。

公務デビューをした際、彼女は父であるガイエンザル国王と、超大国にいちおう挨拶をするというしきたりでラグウルフ王国に訪れていた。

そのあと、向こうの国から、今度は彼がわざわざお礼の品と共に訪問してもいた。

ただ、その時の印象は最悪だったとは、ミリアはあとでコンスタンシアから聞いた。

『顔を合わせたのに、目の前でがっかりしたのよ!?』

『嫌々な感じが出ていた、ではなく……?』

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