冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
現場を見ていないから分からない。見ていた護衛騎士たちの話によると、父王に代表として無理やり行かされたのではないかと推測話が上がっていた。

(顔を覚えているかもしれないから、極力合わないのはほんと助かる)

今では軍の中でもご本指に入る偉いお方だ。そんな軍人王子に疑われると考えると、ぞっとする。

重要なのは、この国の王と第二王子の逆鱗を買って国交に亀裂を入らせないことだ。

(味方が誰もいない地、とにかく半年がんばろうっ)

そんなことを思っている間に通されたのは、国王の間だった。

「はるばる遠いところから、よくぞまいられた」

いったいどんな暴君なんだろうと思っていたが、対面したジェフリルド国王は嫌な感じのしない笑みを浮かべてそう言った。重そうな衣装を着ているが、いつも座っているという印象がないくらい身体は引き締まっている。

(うちの陛下より長身が高いみたい……)

てっきり陰湿な空気でも広がっているのではと身構えていたものの、姫の出迎えに相応しく場には、側近や宰相といった偉い方々も集められていた。

挨拶が始まってすぐ、第二王子が不在であることを軽く詫びられた。普通なら大問題だが「忙しいみたいでね」でジェフリルド国王は次の話へ移った。

(当人同士の意志なんて、無関係なんだろうなぁ)

さすがは強制結婚させた王様だ。

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