冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
そのあと、戻ってきた侍女たちには着替えをさせられた。日中出歩くのにも適した豪勢なドレスだ。装飾品が散りばめられ、腰帯も金と宝石のベルト状なのでかなり重い。

余計に緊張が増した。

「……はぁ、なんで昨日の今日で顔合わせみたいなことになるの」

室内から侍女たちが出ていったところで、ミリアは両手を顔をぎりぎりに添えた。押し付けたい気分だが、化粧と前髪のセットが崩れるのでできない。

緊張しすぎて、生活魔法分の体力も消費している気がする。

「うっうっ、髪色解きたい……むしろここから逃亡したい……」

顔に触れない手をわなわなとさせているミリアを見て、室内に入れられたカイと数人の騎士たちが憐れむ。

「えーと……護衛として俺らが送り迎えするからさ、元気出せよ」

あまりの憂鬱っぷりにカイがそう言った。

「付いてきてくれるだけじゃ全然足りないんだもんっ」

「おい、言ってくれるな」

カイが口元をひくっとさせたが、ミリアはそんな言葉も聞き流してうるっとした目を彼らに向けた。

「ねぇっ、会場にも同行してくれるよねっ? 一人にしないよね!?」

「あーもーっ、そんな可愛いこと言うなよっ。めちゃくちゃ守りたくなるだろうがっ」

彼らは〝姫〟の護衛なので、会場で警備する騎士の列に加ることになるらしい。

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