冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
護衛で付ける最大人数の五人で送迎するからと彼らが励ましてきたので、ミリアはようやく重い腰を上げた。

共に外へと出たが、姫付き侍女が王族と同じ席に座るという緊張感だ。

(ふ、不安しかない……)

身代わりがバレてしまうリスクを考えると恐ろしい。

ミリアの頭の中に、不安がぐるぐると回った。カイたちを護衛に連れて離宮から王宮へと進んだところで、その元凶と会った。

「ああ、俺が迎えようと思っていたのにすまない。今仕事が終わったところなんだ」

アンドレアが向こうから駆けてくる。

その優しい笑顔を目撃した廊下の者たちが「あれは誰だ」やら「まじで第二王子殿下?」やらと、若干ざわついている。

(ああ、逃げ出したい)

巻き込まれるように大注目を受けてしまったミリアは、そう思った。

嫁入りしたのに相手にされていなかった姫が、初めて王家とティータイムを過ごす。その話は一気に広まったのか、王宮に上がってすぐ視線を集めていた。

それなのに、アンドレアのせいで注目度が増した。

そもそもミリアは、彼が迎えに来るなんてことも聞いていない。

「あの、会場で待ち合わせのはずでは――」

「それは父上が〝勝手に〟書き足したものだ。俺は、できる限り自分で迎えに行くので王宮騎士を寄越すな、と伝えた」

またしても周りがづわつく。

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