冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
どういう意味なのかミリアは分からなかった。令嬢たちが羨ましがるような黄色い声を上げてこちらを見ていることを、不思議に思う。

「あの、カイたちがいますから平気ですけれど?」

視線を戻してそう伝えると、アンドレアが小さく目を開いた。

「君は……」

「はい?」

「ああ、そうか。分からなかったのか。つまり俺が言ったことは『俺以外の軍人に案内をさせるな』という牽制になる」

何がどう、牽制なのか。

ミリアはもういっぱいいっぱいだった。疑問腑がたくさん浮かんだその顔を見て、アンドレアが小さく噴き出す。

「君には少し難しかったか。いいよ、ゆっくり攻めていくことにしよう」

「あの、それはどういう……?」

「いや、急ぎたいので、俺なりに譲歩した『ゆっくり』にはなるが。まずはエスコートをさせてくれ」

そう言われたかと思うと、アンドレアが流れるような仕草でミリアの手を取り、彼の腕に絡めさせていた。

(な、慣れている……)

自分の不評の噂を流して女性たちを寄せ付けなかったというのに、まるで王子様的騎士みたいでどきどきする。

いや、彼はそもそも〝王子様〟だ。

そんなことを思っている間にも歩き出された。カイたちが護衛として同行する。

「あ、あのっ、殿下」

「以前にも教えただろう。アンドレア、と」

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