冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「ふふっ、陛下もたまにはまともな提案を出してくださるわよね」
「たまになのかい?」
「たまにですよ」
父母の会話に口を挟んだエミリオも笑顔だが、やはり父関係になると声がワントーン冷える気がした。
(しかも、まさかの隣……)
いや王妃が隣の方が緊張するけれど、と思いながらミリアは座らされた。その隣に、アンドレアが腰かける。
追加でカイたちが護衛騎士に加わる中、どの執事らしき男が指示して侍女たちが紅茶を注ぎ始める。
ちょうどミリアの正面には、ジェフリルド国王と王妃と並んでいた。その光景に緊張が強まって、彼女はスカートの上で手を握る。
(やばい。有り得ない近距離に超大国の王様と妃様がいる)
どうにか姫っぽい笑顔は張り付かせているものの、強張っていた。
「緊張しなくてもいいんだよ?」
紅茶が淹れられていくいい香りが漂い始めた中、ジェフリルド国王が両手に顎をのせてそう言った。
「いえ、緊張しますよそりゃ――ん?」
その問いかけに自然と答えかけて、ハタと思考が止まった。
(待って、今の言い方って)
ミリアは、全然偉そうな感じではない言葉遣いをしたジェフリルド国王を、穴があく勢いで見つめた。
カイたちが後ろで「姫、そんなに見ては……」と青い顔で小さく言う。
王妃もエミリオもアンドレアも、居合わせた声騎士も使用人たちもミリアの様子を見守っていた。