冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
さあさあ、と王妃もにこにこして勧めてくる。

(……な、なんてこった。ただの侍女に、かなりのお金が動いているっ!)

ミリアはバレた時のことを考えて怖くなった。しかし固まったら、エミリオも首を伸ばして見てくる。

「好きなのを取るといいよ」

「お、王太子殿下……」

「あはは、その変な動き何? エルボット、彼女についてあげて」

エミリオが焼き菓子の一つを口にしながら振り返る。いつの間にか立っていた先程の執事が、「御意」と言ってミリアへ腰を屈めた。

「姫、どの菓子がよろしいでしょうか?」

「えっ? あ、それじゃあ、あっちにあるものと……」

ミリアがエルボットに答えている間に、アンデリオが見るなと手で合図を出した。

確かにそれがいいかも、とエミリオが口の形で応え、王家の四人がまったく関係のない雑談を始める。

(あれ? 注目はされていないみたい)

自分の作法がふと気になったミリアは、周りを見て安心した。

白い皿には、あっという間にチョコが使われたケーキが一切れ、丸い形のミニケーキ、初めて見るピンクの焼き菓子とマドレーヌも載った。

それを輝く目で見つめていたミリアへ、エルボットが皿を渡す。

「わぁっ、ありがとう!」

早速、両手を伸ばして受け取った。

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