冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
アンデリオの方から「ぶふっ」と吐息がもれる音がした。ジェフリルド国王が口に手をあてて笑い声を押し殺しているが、ミリアはいまだ皿しか見ていない。

カイたちが後ろで、それぞれ天を仰いだり手に顔面を押し付けたりしていた。

「ちょっと、私もきちんと喋っているのだから、集まりの発案者である君こそ頑張ってよ」

「も、申し訳ない兄上……ふふっ」

「アンドレアが笑うのも貴重だよねぇ。ところで母上、他に何か話題は?」

「今のアンドレアをいじりたくてたまらないけれど、まずはスケッチよ。ちょっと、そこのあなた、絵師がきちんと記録を取っているのか確認してきて」

王宮騎士が王妃に応え、すぐさま動き出した。

るんるん気分でフォークを構えたところで、ミリアはハッとして周りを見た。

そこには美しい姿勢で紅茶を飲む王妃、雑談を振っているアンドレアにエミリオが答えて、ジェフリルド国王が相槌を打っている。

(……気のせいか)

案外注目されていないようだとミリアは受け取った。

これなら緊張せず美味しく食べられそうだ。彼女は座り直すと、心の中で『いただきます』を言った。けれど両手をしっかり合わせて祈りを捧げてしまっていて、今度は王妃が「ぷっ」とやっていた。

よく分からない王家の和やかな状況を眺めつつ、カイたちは胃のあたりの服を握って皺にしている。

「……胃が、痛い」

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