冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
王妃まで笑って両手を合わせる。ジェフリルド国王も、彼女の妻として、そしてアンドレアの父として家族の微笑ましい談笑に加わっていた。

それを聞きながらミリアは震えた。

(こ、これは、確実に離縁しない気だ……!)

その時、王妃の顔がくるっと彼女へ向いた。

「それで、婚姻成立はいつの予定?」

「ひぇっ」

初夜のことだ。

思わず、手からフォークが滑った。カツーンと落ちてしまって、エルボットたちみんなの視線がミリアに集まる。

(……こ、こんな失態、普通の姫ならしない、よね?)

どっと冷や汗が背中に出た。

みんなの目が集まって動けないでいると、エルボットがフォークを拾い上げて、新しいものと取り換える。

「あっ……す、すみません。わ、私、その、相応しくないくらい、教養もまだ足りないというか……」

ミリアは、はくはくと息継ぎするみたいにそう言った。

もう目も合わせられなかった。姫様ごめんなさい、と胸の中で謝る。

コンスタンシアの評価を落とすような行為に胸が痛くなった。どうにか結婚が続行されることは回避したいものの、自分は彼女の評判を担う一角になっているのだと思うと、それ以上の言葉も続けられなくて――。

いや、だから今にいたるのか。ミリアはハタと気付く。

(ここはもう、覚悟を決めて、どうにか離婚に持ち込むくらいの何かをしでかすしかないのかも――)

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