冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
だってミリアの役目は〝主人〟の恋愛結婚を叶えることだ。

このままミリアがここにいたら、コンスタンシアは名前が使えずアーサー王子と結婚ができない。そんなことは、絶対にだめだ。

「大丈夫よ、これから教えていきますからね?」

その時、肩に手を置かれた。

びくっとして目を向けると、いつの間に移動したのか、王妃が少し腰を屈めてミリアの肩を撫でている。

「お、王妃様……」

「あなたは、習慣も違う国から来たんですもの。嫁いだら一から学んでいくものだし、落ち込まないで、ね?」

なんだか不思議だ、とミリアは思った。

来るまでは怖い超大国だというイメージしかなかったのに、その優しさは自国の王家を思い出させた。

(普通は、妃教育がされている相手が来るのが常識なのに……わざわざ作法確認までさせてくれるなんて優しいかも)

ミリアがじーんっとして王妃を見ている中、円卓越しにエミリオがアンドレアをつつく。

「ほら、ショックを受けている場合じゃないよ。こんなことで婚姻は取り消されたりしないから」

アンドレアが我に返って「すみません兄上」と小さな声で言った。

「婚姻成立は、そのうちに。今はまだ」

場にいる面々にそう告げながら、ミリアの肩を抱いて王妃からさりげなく引き離す。

そう答えた彼の声に、ミリアは心臓がぎゅぅっとした。

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