冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
カイたちが、詰めていた息をほぅっと吐き出した。

「そこで、使えそうなのは『家出』かなって」

「はっ? いや、待て待て間て、国交云々だったらそれもまずいんじゃないのか?」

「他になさそうだったから仕方ないじゃん。半年目がくるまで逃げ回って、身体を張って講義するの。それでいけそうかどうか、意見を聞きたくって」

うかがったミリアの思い詰めた顔を見て、近くの騎士が心配そうに聞く。

「なぁ、何をそんなに焦っているんだ? 昨日ティータイムの席で出たとかいう、初夜の話のことか?」

「う、ん。その……獣人族の婚姻って特殊でしょう? 二番目に奥さんになった人とは子供ができないみたいだし、だから、まずいなと思って」

「『今はまだ』『しばらく待つ』って殿下も言ってただろ」

だから緊急を要するものではない、落ち着けとカイも言ってくる。

「だって、いずれするって言ってたんだもん。それって、そう遠くない日にってことでしょ?……何を基準に待っているのかは分からないけど」

ミリアの声はだんだん小さくなった。

当時現場にいなかった騎士たちも、それぞれ考え込む。

「待つ、ねぇ……」

「それも疑問だったんだよな。普通、すぐにでもできるんだけどな」

「何か待つ理由があるんかな?」

ひそひそと話す声が聞こえて、ミリアは遠くにいる騎士たちを見た。

「何か言った?」

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