冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
彼がコンスタンシアに恋をしているのだと知ってから、その優しさがミリア自身に向けられているものだったらよかったのに、と考えてしまうのだ。

そう思うたび、彼女は任務へ意識を向けて誤魔化してきた。

だって、どうしていいのか分からない。なんでこんなに苦しいのかも――。

「ったく、陛下はどうするつもりなんかねー」

別の騎士が、いまだ頭を上げてくれないミリアの頭をぽんぽんと撫でながら呟く。

「家出以外にも方法はあるはずだから、とにかく早まんな、な?」

「侍女さんたちに話を聞いたけど、婚姻成立した王族の国内離婚はないんでしょ。国内の貴族も婚約破棄が稀なくらいだって聞いた。カイもそういう話は持つてないんだよね?」

「ちゃっかり調べてんなー」

困った顔で笑ったカイが、ふと名案を思い付いたと一本指を立てた。

「あ、なら王太子妃はどうだ?」

「……は?」

軽々しく口に出せる存在ではない。

ミリアは、すぐそこでそう発言したカイをまじまじと見た。

「……『何言ってんだこいつ』みたいな顔はやめてくれねぇかな?」

「だってそう思ってるんだもん」

「あのな、あの人はミリアと同じで国際結婚なの。オリビエン帝国の姫でさ、そこから嫁いできたんだよ。王太子殿下と婚約かる前に、母国の方で縁談話撤回の騒動も起こしてる。姫という立場からの話も経験も、一番タメになる人だと思うけど?」

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