冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「なぜ、こんなことに……?」

「あはは、まだ混乱中かな? ティータイムではあまり話せなかったからねー。弟があんなにも私を熱く見つめてくるなんて」

なんてポジティブなのか。

ミリアの記憶が正しければ後半、アンドレアはたびたび兄に対して、笑顔で短く冷ややかな言葉を返していた気がする。

(なんか、エミリオ王太子殿下が絡むと機嫌が悪くなるような……?)

そんな疑問を覚えたものの、広い階段を上がっていくエミリオから、アンドレアも夕食を食べていくこともあるという話を聞いて気のせいかと思った。

そもそも今は、アンドレアのことを考えるほどの余裕はない。

エミリオは妻に会わせてくれるだけでなく、畏れ多いことに、ついでに夕飯も一緒にどうかと誘われてしまったのだ。

急にそんな予定を組んで大丈夫か、話を振られた時は心配になった。

けれど離宮の侍女たちに確認したら『姫の自由ですよ?』と不思議がられた。そして、それならいいよね――とエミリオに馬車まで引っ張られて今に至る。

(そうか、私、今姫だもんね……)

スケジュールについても自由に組めるようだ。

まさか王太子妃と話せるだけでなく、夕食までご一緒してしまうことになろうとは思っていなかった。

(大丈夫なのかな)

ミリアは、再三不安になって後ろをちらりと見た。

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