冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
そこには〝コンスタンシア姫の護衛〟として、カイたちが付いてきてくれていた。帰りは彼らが城の離宮に送り届けるためだ。

何かあれば、フォローするとカイたちは言っていた。

(私、作法は不安しかないから彼らだけが頼み……)

こっそりミリアが送った視線に対して、カイたちが『俺らもちょっと自信がない』とにわかに不安を覗かせた。

エレンヴィア城には、たくさんの使用人が勤めていた。

歩くミリアたちの進行を開けるようにして、端に寄って頭を下げていく。

それに見送られながらエミリオについて進でいくと、二階の開けた広い空間に入った。そこは大きな窓が美しい部屋で、二組分の寝椅子やソファ、男女の趣味が一緒になった本棚なども上品に配置されていた。

妻との共同私室だとエミリオが話しているが、ミリアは緊張が高まる一方だつた。

向こうで、美しい女性が読んでいた本を侍女に預けるのが見えた。

(あれが――きっと王太子妃殿下、だよね?)

座っていても令嬢とは存在感が違っていた。彼女が立ち上がると、彼より濃い金髪がしっとりと身体にまとう。

「紹介するよ、私の妻のシャルスティーヌだ。突然すまないね、話したいことがあるらしいから」

「いえ、構いませんわ」

紹介したシャルスティーヌを迎え、エミリオが妻の頬へキスをする。

「そちらは初めて見る顔ですわね、どちら様かしら?」

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