冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「夕食のことは私がやってくるというのも――実はね、彼女の話したいことは〝陛下がらみ〟によるものなんだ」

シャルスティーヌの笑顔が、すうっと寒々としたものになる。それはエミリオよりも極寒だった。

冷気を感じ取って、ミリアは固まる。

「よろしいですわ。そういうことでしら」

彼女が素早く歩み寄り、ミリアの手を取った。

「え……王太子妃様?」

「うふふ、どうぞシャルスティーヌとお呼びになって? そういうことなら歓迎です、わたくし、陛下と同じ場所に暮らすのは絶対に嫌だと申し出て、ここにいますし」

ミリアは「ひぇぇ」と竦み上がった。

シャルスティーヌは笑顔だが、やはり吹雪いていた。この城で暮らしているのには、そんな事情があったらしい。

(ほんと、二人と国王の間で何があったのか……)

怖いから聞けなかった。

出て行くエミリオに『置いて行かないで』と言いたくなったが、そのまま押しの強さでシャルスティーヌに円卓の席まで案内された。

新しい紅茶が淹れ直された。ミリアが心を落ち着けるためにはちみつを混ぜている間に、彼女は自己紹介がてら自分のことを話してくれた。

シャルスティーヌは、このラグウルフ王国を挟んでサンスティール王国とは反対隣にあるオリビエン帝国の姫だ。

約二年前に王太子エミリオと婚約し、めでたく成婚となったという。

(なのに、国王との怨恨がよく分からない……)

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