冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
ようやくちびちびと紅茶を飲み始めたミリアは、話を聞いてやっぱりそう思った。

「どちらも長子ですから、責任感が強くて意地っぱりで。政略結婚を覚悟しておりましたの。だから、まさかこうやってエミリオと結婚して、こうして子まで授かれるとは思っていなかったですわ」

「あっ、そういえばお子様が……」

腹を撫でた彼女に、ミリアはハタと思い出した。

「ええ、まだ実感はありませんけれど、新しい命が宿っているそうですわ。ですから、わたくしの紅茶は特別性です」

「どうりでハーブとは少し違った香りがすると思っていました」

「ふふっ、あなたは面白い人ですわね。なかなか気付く人も少ないと思いますわよ?」

くすりと笑ったシャルスティーヌの笑みに、ミリアはハートを射抜かれそうになった。護衛についているカイたちが『おい』という顔をしていた。

「獣人族の子は宿りにくいとは聞いていましたが、わたくしに問題があるのかと思って心配していましたの。宿ってくれて、愛おしいですわ」

撫でる腹に向けられている眼差しは温かくて、控えめな表情以上に、心から喜んでいるのがミリアにも伝わってきた。

定期的に診察にきてくれる医師の話だと、順調に育っているそうだ。

「シャルスティーヌ様は、本当に殿下のことが好きなんですね」

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