冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「ええ、幼い頃に初めて言葉を交わした時からずっと、わたくは彼が好きでしたわ。結婚できたことも嬉しく思っています。夢みたいで――初恋なんて、叶わないものでしょう?」

だから奇跡みたいだと日々思うのだという。

初恋は叶わない。

彼女の口から出た、姫であるコンスタンシアと同じ台詞を聞いて、ミリアの胸がずきりと痛んだ。

頭に浮かんだのは、アンドレアのことだった。

(なんで、彼のことが浮かぶの?)

サンスティール王国の第一王女コンスタンシアのことが好きな、獣人王子――。

「何か悩んでいらっしゃる様子ね」

ティーカップを置く静かな音が聞こえて、ミリアはハッと我に返った。

「そ、それは」

「わたくしとお話がしたいのでしょう? 王家に嫁いだ先輩妻として、何か聞きたいことでもあるのかしらと思いまして」

どちらも、同じく〝姫〟だ。

何か察してそう尋ねたきたのだろうと分かって、ミリアは考える。

「えと……シャルスティーヌ様は、私の嫁入りのことは諸々聞いておりますでしょうか?」

「知っていますわ」

上目遣いに伺ったら、にっこりと微笑まれる。

当初、夫に見向きもされなかった妻、という話も知っているのだろう。

(今は歩み寄ろうとしてくれている、と王太子殿下から聞いての笑顔なのかも……)

ミリアはティーカップを両手で置くと、ごっくんと唾を飲み込んだ。

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