冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
身代わり――なんて残酷なことをしてしまったのか。

ミリアは、これまでのアンドレアの優しさを思い出して罪悪感に潰れそうになった。

「ですので、国内に別の好いた殿方がいての駆け落ち、であれば、婚姻成立前ですと結婚の白紙が可能になります」

「そう、ですか……」

「その他にも、恋をしたと二人で打ち明ける場を設けるのも、この国のならわしのようで――」

話すシャルスティーヌの言葉が、耳を半ば素通りしていく。

せっかく話してくれているのだから、聞かなくちゃと思う。けれど心臓のどくどくとした音が耳にまで聞こえて、うまく聞き取れないのだ。

(――胸が、痛い)

コンスタンシアが幼い頃から憧れていたのは、バフルスク王国のアーサー王子だった。同じように、アンドレアは少年だった当時から彼女を想っていたのだ。

初恋は、叶わない。

その言葉がミリアに重くのしかかった。

それは彼も、そしてミリア自身も同じだと分かったから。

(そうか、私……ここにいる私が『姫様だったら』って、思っちゃったんだ)

ミリアが姫本人だったなら、彼に『好き』を答え返せた。

そうしたら彼を悲しませずに済んだ。そうだったよかったのに――と、今だってミリアは思っている。

(ああ、どうしよう。私、……好きになっちゃったんだ)

好感を抱いてしまっていると自覚した。

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