冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
ミリアは涙が出そうになった。だから目を向けないようにして、これまで必死になって可能性を否定しようとしてきたんだと理解した。

心が激しく揺さぶられた。

自覚したことさえ後悔した。けれど、好きな気持ちばかりが溢れてくる。

これまで異性を意識したことなんてなかったのに、ミリアにとってアンドレアは特別になってしまった。

「あらあら、辛そうなお顔ですわ」

いつの間にか下を向いてしまっていた。きちんと姫を見なければ失礼だと理解しているのに、顔を上げることができなかった。

(涙を、抑えなくちゃ)

スカートを握って、出て来るなと心に念じる。

何も知らないこの人を心配させちゃいけない。相手は姫だ。

大好きなコンスタンシアと同じ姫君で、ようやく政略結婚の不安から解き放たれて、恋したエミリオと幸せになれた人――。

(――私、姫様を幸せにしないと)

ミリアが、彼女に拾われて幸せになったように。

『ミリア、今日からあなたは私の侍女よ。よろしくね』

侍女として役目を与えられた。

もっと役に立ちたくて、護衛を志願して毎日バカみたいに訓練をした。理想に近付いている思うと楽しくて、辛いとは思わなかった。

血の滲む努力で、護衛侍女という肩書きをガイエンザル国王からもらった。

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