冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
コンスタンシアと、どこへでも一緒に行けるようになった。行動が制限される彼女の笑顔が増えて、嬉しかった。ミリアは、彼女のための護衛侍女だから。

(〝主人〟からもらった任務を、果たさないと)

ショックも押し潰すほどの責任感が、ずしりと全身にのしかかった。

(そうだよ、私はそのために存在していて――)

その時、優しい香りに全身を包まれた。

シャルスティーヌに抱き締められているのだと、少し遅れて気付いた。

「あ、あああああの、シャルスティーヌ様っ?」

「なるほど。あなた、わたくしのビビアンヌによく似ていますわ」

唐突に知らない名前が出て、ミリアはきょとんとする。

「ふふ、少しは落ち着いたかしら?」

さらりと金の髪が揺れて、近くから覗き込まれてこくこくと頷く。

カイたちがほっと息を吐いた。けれど「こいつ……」と思ったような目を、頬を染めているミリアへ向けている。

「思い通りになっていると思うと悔しいのですが、あなたで仕返しはできませんわね」

「シャルスティーヌ様……?」

彼女が頬に触れて、静かに微笑む。

「あなた、とてもいい子なのね。警戒心が強いエミリオが、すぐ連れてきたのも分かるわ。ねぇビビアンヌ、そう思わなくて?」

すると、いつの間にか一人の侍女が入室していた。歩いて向かってくる姿に気付て、カイたちがぎょっとする。

「い、いつの間に……!」

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