冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「むさい騎士たちですわね、今、我が主人がお呼びになってからです」

ビビアンヌと言われた侍女が、つり上がった細い目を辛辣に向ける。

(おぉっ、すごく鍛えている侍女さんだ!)

カイたちが一睨みに怯えている一方で、ミリアは目を尊敬に輝かせた。彼らは「お前おかしいよっ」と目で訴えてくる。

「ふふ、彼女はビビアンヌ。わたくしの国からついてきた侍女ですわ」

「は、はじめましてっ」

「挨拶は不要でございます。私は護衛がメインですので、握手でも女性の手を痛めさせてしまう可能性もありますから」

まるで男性みたいなことを言う侍女だ。

そう思っているミリアを、ビビアンヌはじっと見つめる。

「――たしかに、珍しく純朴です」

「でしょう?」

シャルスティーヌが嬉しそうに同意を示す。

どうして呼ばれたのか、すでにビビアンヌは察していたらしい。円卓の上をざっと確認すると、替えの紅茶をお持ちしますと報告していったん退出する。その道をカイたちが素早く開けた。

「わたくしからの助言です。飛び出したい気持ちがないのなら、今は動くべきではないでしょう」

「え……?」

ヒビアンヌを目で追い駆けていたミリアは、顔を両手で包み込まれ、唐突にそんなことを言われて戸惑った。

「もう少し様子を見るのも、賢い方法です」

時期を待て、ということだろう。

「で、でも」

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