冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「あなた様の精鋭部隊だけがのけものですが、大丈夫なんですか?」

共に歩きながら、ストレイが確認してくる。

「問題ない。俺の部下たちは優秀なので、何かあるだろうと感じてくれているはずだ。兄上の城へ行くきっかけになったのも、彼らなりに時間稼ぎとして義姉上と話をさせるためだったようだ」

そうとも知らず、今朝アンドレアは登城してきた兄を本気でぶん殴りそうになったのだが。

『――ふふ、貸し一ね』

おかげで、嫌な相手に貸しを作ってしまった。

「朝からあの笑顔は最悪だ……」

「エミリオ様に何かしたんですかっ? やめてくださいよ、これから会う予定があるんですよっ?」

相変わらずの察知能力で、ストレイが何やら言ってくる。

その時、アンドレアたちは訪問を迎える準備が整った広間に気付いた。側近たちも段取りを最終確認している。

(労っておくか)

それもこれも、アンドレアのためにしてくれていることだ。

自身もそわそわしていたところだったので、彼は朝ぶりに彼らのもとへと向かうことにした。ストレイが嘆息し、その背中に会釈をして廊下を歩いていく。

「これは、アンドレア第二王子殿下! このたびは誠におめでとうございます」

「殿下たちが成婚に向けて着実に愛情を育んでいらっしゃるとは、我々も聞いております。離宮からこちらへ住居を移せるのも楽しみですな」

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