冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
重い装飾品を全て取り、傷付かないようにしっかりと元の保管棚へ戻す。

仮面だった化粧を落とし、続いて生活魔法も解いた。

プラチナブロンドの髪がふわりと舞った次の瞬間、コンスタンシア姫とは違う本来のオレンジ色の髪へと戻っていく。

衣装棚を開き、輿入れで持ってきた鞄を引っ張り出す。それは底の方が二重構造になっていて、何かあった時用の解毒剤、護身用のナイフや銃などが入っている。

(これを持って出掛けることは、最後までなかったけど)

半年の間に、夫婦としてではなく、第二王子の妻として公務が入った時に備えて持ってきた特注鞄だ。

コンスタンシアに仕えてから、一番長い仕事の相棒だった。

(うぅっ、私の侍女仕事鞄……!)

大切な物なので持っていきたいのだが、盾代わりにもなる防弾製なので重い。

今回はスピードと跳躍力が重要になるので、身軽であることが最低条件だった。

「離縁が成立した際には、取り戻せるといいなぁ」

名残り惜しんでいる暇はない。ミリアは、解毒剤や武器と共に入れられている替えの服を掴んだ。

そして彼女は、普段ここにいた〝コンスタンシア姫〟とは、ガラリと印象の変わる軽めの衣装へと着替えた。外で護衛侍女として付いていた時の町娘の服だ。これも護衛用としての動きやすさで選ばれていた。

「これで、――どこからどう見ても〝私〟だね」

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