冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
等身大の姿見を覗き込む。そこから見つめ返してくる少女は、第一王女コンスタンシアには見えなかった。

長いオレンジ色の髪、質素な服がよく似合う気高いオーラのない無垢そうな女の子だ。

同じアイスブルーの瞳でも、顔全体に幼さがあることが目立っている。

(姫様より一歳年下の、十七歳だもんな)

それにしては年齢に開きを感じる、と陛下たちがよく言っていたことを思い出して、ぷるぷるっと首を軽く振る。

急に寂しくなってきた。そして、任務を波風立てることなく遂行できなかった罪悪感、会いたいのにこんなことをして向ける顔だってない。

「でも……正体を知られず、離縁を勝ち取る」

しっかりやり遂げてみせる。そう誓って、ミリアは扉を押し開け外へ出た。

目の前には、離宮の美しい緑の庭が広がっている。

ふわりと風が吹くと、花々にとまっていた蝶が舞い上がった。

「いつもなら、カイ達のところに行っていた時間……」

庭園と蝶の風景の向こうには、二階建ての立派な本殿があった。

彼らに勘付かれないようにと考えて、速く動き出すことを考えていたのに、しばし見つめてしまっていた。

「……ごめんね、ばいばい」

協力を申し出てくれたのに、ごめん。

そう思いながら、ミリアはオレンジ色の髪を翻して離宮の出入り口に向かって走った。

計画は、寝る前に練った。

まず離宮と王宮の境にある警備を抜ける。

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