冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
通路を歩いていた太った紳士が教えてくれたが、残念ながらミリアにとってはそこが正解だった。

正門が通れないので、ここを突破するしかないのだ。

みんながびっくりして見ていくが、ミリアは平気な顔で驚く速さで走り続ける。誰も、今のミリアが『第二王子の妻』だなんて気付かないから。

「あの子、ぶつかってしまうわ!」

「誰か止めてあげてくれ!」

悲鳴が上がった。

だが兵も駆け付けた次の瞬間には、ミリアは建物二階分の塀に挑んでいた。

「えいやっ」

幼少から鍛えられた身体能力で、軽々と木と塀を蹴って駆け上がる。

見ていた全員が唖然としていた。

ミリアは最後「どりゃあああ!」と意地で壁の僅かな窪みを蹴ってジャンプすると、くるっと一回転して――王城の敷地を囲う高い塀をあっという間に飛び越えた。



計画その二は、王宮を離れることだ。

城の塀を飛び越えたミリアは、その身を隠すように素早く次の行動へ移った。まずは不審がられないように着地点をあとにし、周りの様子を探りつつ群衆の流れに溶け込む。

(あっ、あれ使えそう!)

ふと、ミリアの目に留まったのは、壁から離れた場所にかかっていた小さなトンネルだった。そこを商人の馬車が通り抜けようとしている。

目標を決めるなり、ミリアは人混みを素早く縫って走った。

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