冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「あ、やっぱりアンドレア様が望んでいることではなかったんですね」

「いや、事実だからいい。国民たちに祝われるのは気分もいい」

「え?」

溜息交じりに言ったアンドレアが、向かってくる。

生活魔法をかけていないオレンジ色の髪で、彼といるのも初めてのことだ。今になってミリアが戸惑うと、コンスタンシアがふふっと笑って背中を押し、ミリアは彼とまっすぐ向かい合うことになった。

「言っただろう、俺は君が好きだと。君をつがいにすると」

「そ、それは、私を通して姫様に言っていたことなのでは……?」

「違う、君に言ったんだ。言っておくが、父上が口にした初恋は真実だぞ。俺は、木から落ちた〝君の方に〟一目ぼれしたんだ」

「え……えぇえええ!」

ミリアは大きな声を上げた。近くにいたコンスタンシアやエミリオたちが、揃って耳を手で塞いでいた。

「じゃ、じゃあ、十年前に姫様に会いに来たのは?」

「君だと思って行ったら、全く別の姫が出てきて失望したんだ。俺は君が身代わりとしてくるまでの間、名前も知らないその女の子のことがずっと忘れられないでいた。そんな状況で誰かと婚約なんて考えられなかった」

忘れられなくて、結婚関係から身を退けた。

それが、アンドレアの女性遊びの噂とカイたちのヅラ任務の真実だった。

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