冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました

彼が会いたかったのは、ずっとミリアだったのだ。別人だと分かったから彼は花を持ってきて、コンスタンシアではなかったから話しがしたくて訪問した。

「甘いクッキーも、全部私のため?」

「そ、うだ。女性へ贈り物をしたことがなかったので、気に入ってもらえるか渡すまでとても緊張して……」

ミリアに顔を覗き込まれたアンドレアが、またしても耳まで真っ赤になる。

あまりのいじらさに、彼をよく知るカイたちも護衛騎士たちも口を押さえて、がんばって見守っていた。

すると、アンドレアが顔の下を撫でて目をそらす。

「アンドレア様?」

「すまない、少し顔の熱が引くまで待ってくれないか。これでは締まらない。それと君が起きたら一つだけ先にさせて欲しいことがあったんだが……」

「はい、なんでしょう?」

「……ミリア、と呼んでいいか」

彼の声で名前を呼ばれた瞬間、胸がばっくんとはねた。

アンドレアに名前を呼ばれたことが嬉しかった。その声に胸が早鐘を打って、ミリアは一瞬で赤面した。

わざわざ律儀に許可を取ってきた姿にも、王子様みたいだという感想が脳裏を過ぎった。

(そ、そうだよね、アンドレア様は王子様だもんね……)

早く答えなくちゃと思うのに、声が震えそうになる。

「は、はいっ、どうぞ……」

名前を呼ばれるただけなのに、ものすごく恥ずかしい。

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