冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
なんていい天気なのか、心まで晴れやかになってくる。

(ようやく女の子と普通の会話ができるぞ!)

期待が高まり、彼女は一切の警戒心も忘れた。

そもそも姫は走らない、なんていうことも忘れて重いドレスもものともせず、るんるんっと美しい庭園を軽やかにスキップしていく。

本殿は、数段の階段の上に扉が設けられていた。

ミリアは女の子同士だと思って、ノックもせずにこやかに扉を開けた。

「こんにちはーっ、私は――」

だが次の瞬間、屋内の風景に目を見開いた。

「え……うわあぁああああ!? 髪の長い男の集団がいる――っ!?」

それは、仰天する光景だった。そこには離宮で初めて見る騎士たちがたくさんいて、全員が頭に女性のヅラをかぶっていた。

相手の騎士たちも一斉に驚いた。

「うぉおおおおお!? 遠目から見るならまだしも、直接乗り込んで確認しにくるバカいる!?」

「何々っ、変態なの!?」

「なわけねぇだろ! 俺らのどこが変態だ!」

「やけに艶がある女物のヅラかぶってるの鏡で見てみたら!?」

彼らが堂々と何をしているのか分からない。

何人かは書類を持って移動中の用だったし、何人かは剣を磨いているし――。

(つまり仕事中だったわけ? 軍服にヅラかぶって?)

わけが分からなくなったミリアは、ひとまずなかったことにして出ることにした。

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