冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
しかし、くるっと踵を返した途端、彼らが一斉に向かってきた。

「ちょっと待て! まだ口止めしてないだろっ!」

「きゃあああああ変態!」

「何を想像して悲鳴を上げた!? 待てっ、誤解だって」

騒がしさがピークに達した時、引き留めようとした騎士の手がミリアの肩を確保した。

彼女は震え上がって悲鳴を上げた。

その瞬間、――髪の色から根本から毛先にかけてオレンジ色に変化した。

「髪がオレンジ色になったあああああ!?」

今度は騎士たちが悲鳴を上げた。お化けでも見たみたいな情けない声を聞いて、ミリアはハッと我に返る。

まずい。口止めしなければならない。

驚いた拍子に生活魔法がとけてしまったのだ。彼女は、慌てて彼らに向き直った。

「ごめん落ち着いてっ、これただ魔法で色を変えているだけだから!」

「え……?」

自分達たちヅラだったのに、ミリアも髪の色を変えていた。それを今一度頭の中で整理したのか、騎士たちは困惑が極まった顔だ。

ミリアも、改めてヅラ集団を見てごくりと息を呑んだ。

(すごい光景だ……そもそもなんで女物のヅラをしているんだろう?)

そう思っていると、騎士たちがハタと思い出した様子で、扉から入ってすぐそこにいるミリアへじりじりと集まり出した。

「いいですか、姫。俺らは決して、変な趣味の騎士集団とかじゃありませんからね?」

「うん……?」

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