冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
そう誤解される方が耐えられないようだ。

(いや、そもそも私も姫じゃないから敬語じゃなくてもよくって――)

ミリアはそう思ったのだが、小隊長だと名乗ったカイに事情を説明させて欲しいと言われてしまい、まずは彼らの話を聞くことになった。

何もない本殿の玄関ホールは、兼用で広間になっていてみんなでその場に腰を下ろした。

ここにいる彼らは、第二王子直属の第一小隊だという。

アンドレアが結婚話を潰すため『自身が持っている離宮に女性たちを囲っている』という噂を自分から流していたようだ。

諦めつかない令嬢たちは離宮の〝女性の影〟を見るよう仕向けられ、そして泣いて逃げ出した、とか。

(うわー。いくら結婚したくないからって、冷たい人だな)

噂が本当だと信じさせた方が手っ取り早いとはいえ、相手の女の子はショックだっただろう。

なんという冷徹王子だろうか。

とはいえ、強制結婚を我が身に体感したミリアも、悪くは言えなかった。

(……よほど、結婚したくなかったんだろうなぁ)

わざわざ部下たちにヅラをかぶせ、女の子にショックを与えていることはひどいことではあるので、フォローはできないけれど。

「それで? 姫は、その……なんで髪の色を変えたりしているんです?」

話し終えたカイが、おずおずと尋ねてきた。

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