冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「数少ない魔法国家なのは知ってますけど、ファッションで髪色を変えるのが流行っているんですか?」

「敬語じゃなくていいですよ?」

「いやいや、姫こそ敬語じゃなくていいですからっ」

他の騎士たちも慌ててそう言ってきた。

(あ、もしかして、みんな姫様のこと知らないのかな?)

床に座り込んでいるのを見ても、彼らは疑っている様子がない。

そう推測したミリアは、自分は姫ではなく侍女の方であることを伝えた。

護衛であり、彼女のための影武者だ。そう説明していく彼女を、彼らは揃ってぽかんと口を開けて見ていた。

「――というわけで、姫様の身代わりで結婚して、半年過ごすためにいるんですっ」

ミリアが両手に拳を作ってシメると、カイが詰めていた息を吐く。

「そっか、姫じゃなくて身代わりの……」

彼のそばから、待て待てと声が上がる。

「俺らのことが姫にバレなかったとはいえ、これ、まずいんじゃないか?」

「そうだよ。お前の方こそ、バレたらまずくね?」

「私? 平気だよ、今ところ髪の色を変えて化粧したら、全然疑われてないもん。殿下は私のところになんて来ないし、近くで話すことなんてないから大丈夫!」

ここ数日で付いた自信に、ミリアはまた愛らしくガッツポーズをして見せる。

なぜかカイが半信半疑と言った表情を浮かべる。騎士たちも不安そうだ。

「度胸あるなぁ……」

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