冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「まぁそれはいいとして、今日はなんでここに来たんだ?」

「確かに、それは疑問だよな。身代わりだとバレないように生活しているわけだろ? なんでわざわざ顔を出しに?」

彼らが親切な目で見つめてくる。

ミリアは、自国の仲のいい護衛騎士たちを思い出した。

途端にホームシックが爆発した。目がじわりと潤んだのを見て、カイたちがぎょっとする。

「待て待て落ち着けっ、なんでそこで泣きそうになる!?」

「わ、私っ、寂しくて……」

「……はい?」

「引きこもっている方が安全なのは分かるけど、お、おっ……」

「『お』?」

カイたちが、声を揃えて尋ね返す。

「お、お喋りできないのが耐えられなかったのぉぉぉおお!」

ミリアは両手に顔を押し付け、前屈みになった。

騎士たちは呆気に取られていた。わんわん泣いているのを見て、ひとまずカイがハンカチを差し出した。ミリアは有難く使わせてもらう。

「……なんか、随分風変わりな護衛侍女が来たもんだなぁ」

「うぅっ、期待が裏切られたんだもん。後宮みたいに女の子のパライダイスかと思ったら、全員むさっくるしい男だし!」

「ひどい言われようだ……」

「なんで女の子とそんなに喋りたい欲がすごいんだよ……」

友達いないのかな、と彼らは首を捻る。

この国にはいないんだよと思いながら、ミリアはハンカチで最後の涙を拭った。

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