冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「離宮を任された第二王子直属の第一小隊は、本来、妃のための護衛みたいなものでもあるから、そのへんは平気」

手を振って答えてくれたカイが、へらりと笑う。

「身代わりがバレないようにも協力してやるからさ、せっかく来た獣人の国だ。その半年間は楽しめよ」

「ありがとう!」

ミリアは、思わず目の前のカイに飛びついた。

(嬉しいっ、味方で、お喋り仲間だ!)

こっちに来てから、初めて知り合いを得た。感激した彼女の巻き添えをくらって、一緒くたに抱き締められた騎士たち、そして見ていた騎士たちもツッコミする。

「おいいいいいいっ、何やってんの!?」

「うわあああ俺は触ってないっ、俺は触ってないぞー!」

「カイ小隊長から離れなさいっ」

両手を上げて叫んでいるカイの後ろから、めっ、という感じで別の騎士にも注意される。

「え? だめなの? なんで? 嬉しい表現してるだけなのに」

「姫君だったら易々とくっつかない!」

「これが本当の輿入れだったら、俺の首飛んでるからな!? とにかくっ、そういうのは直せ! いいな!?」

カイがあまりにも必死の形相なので、ひとまずのところミリアは納得することにした。

おかげで寂しさもなくなって胸もすっきりだ。ふんふふんっと笑顔で姫衣装を整えるミリアに対して、カイはげっそりしていた。

「うぅ、小隊長おいたわしいっ」

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