冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
普段がのほほんとしている王家と家臣が、ジェフリルド国王からの書面に青くなっている光景は珍しくもあった。

いわばミリアは、敵国のど真ん中にいるようなものだ。

たった一人の半年は、長い。そう思い出してしゅんっとしてしまい、気を紛らわせるようにしゃがんで仔犬と目を合わせた。

「あれ、そもそも翼が生えてるけど『仔犬』でいいのかな……?」

今になって悩んだが、目を合わせていたら仔犬たちが「きゃんっ」と鳴いた。尻尾が一本の子も二本の子も、嬉しそうにぶんぶん振る。

「この子たちはひときわもふもふだね、手足もおっきいや」

するとカイが、同じように隣にしゃがんできた。

「大型獣の特徴。三ヶ月もしないうちに、中型犬の体重にはなる。うちで見るのは完全に離乳するまでのその間だな」

「へぇ、そうなんだ。じゃあ、今のサイズは貴重なんだね」

ミリアは、先程から目の前で主張している子犬を両手で抱き上げてみた。

意外にも、彼女の腕でも軽々と持ち上げられる体重で驚く。毛の量が多いせいで、重そうというイメージが先行したようだ。

「でも珍しいな? 全然警戒されてない」

騎士の一人が、腰を屈めて指を差し指摘する。

するとカイたちも、確かにと言ってミリアの前に集まった神獣の子たちを見やった。

「人懐こく見えるけど、それって珍しいの?」

< 41 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop