冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
ミリアは「ふうん?」と首を傾げた。ひとまず目の前に仔犬たちに両手を広げ、呼んでみる。

「おいでー」

来ないと思って、そう言った。

だが、直後に仔犬たちが一斉に突進してきて驚いた。ある仔犬は大きな尻尾を生き物みたいにくねらせて身体を前に押し進め、あるものは翼を必死にばたつかせる。

「ぴぎゃっ」

数秒後、ミリアはどっと押し寄せられてべしゃっと背中から倒れた。

カイたちが「何いいいいい!?」やら「嘘だろ!?」と叫んだ。

「なんだなんだっ、全部集まってきたぞ!」

「おぉぅ、もふもふに埋もれている……」

「絶対私のこと忘れてるでしょ! そういう感想はいいから助け起こしてよーっ」

いちおう、はたからは姫だと錦されているのだ。

カイたちも今になって思い出したのか、慌てて仔犬たちをどかし始める。手荒な真似はできないので、急ぎつつも一頭ずつひょいと持ち上げては脇にどける。

そして、とうとう騎士の一人がミリアを探しあて、もごもごした仔犬の中から脇に手を入れてひょいと持ち上げた。

「お前変なフェロモンでも出てんのか!?」

「開口一番に何その言葉!? 失礼なっ、そんなの出てないよ!」

「俺らでもこんな風にならねーぞ!」

「そんなこと言われてもなぁ」

ミリアは覚えがなくて困った。

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