冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
ふと、ぼさぼさになった自分の髪に気付いて「あ」と思う。ひとまず色の魔法がとけなかったことに安堵した。

(驚きすぎると魔法が外れるんだよね……というか、たぶん、この子たちすっごく人懐っこいんだと思うけどなぁ)

もみくちゃにされた彼女は、神獣、ということが頭の中から飛んでいた。

カイが「直さないのかよ」と言って、呆れた様子でミリアの髪に手を伸ばした。

「あーもー、こういう時は気にして直せよ。普段のがさつさが分かってきたような――」

「あぁぁ!」

その時、ミリアはハッとして大きな声を上げた。

騎士たちは揃って肩をはねたし、前髪を整えているところで目が合ったカイも慌てて手を引っ込めた。

「悪かったよ! 妹みたいにやっただけで別に変な意味はな――」

「触り心地極上だったよ!」

「ん?」

「ねぇ、あれって毎日ブラッシングしてるの? 私も毛づくろいできるかなっ?」

「……今気付いたのか? というか、それ今思い付くこと?」

カイが肩を落とした。年齢がほぼ変わらない騎士たちが、彼の肩を手でぽんっとやっていた。口元は面白がっている。

「というかさ、お前持ち上げられている状況に慣れてんなー」

「ザック、持ったまんまだもんな。……じゃじゃ馬で普段からみんなに扱われていたのがよく分かる」

「ああ、外では生きていけない神獣の子、みたいな……」

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